
失活歯とは
歯の内部には、神経や血管が通っている「歯髄(しずい)」という組織があります。この歯髄が虫歯や外傷などによって死んでしまったり、抜歯されてなくなってしまったりした歯を「失活歯」と呼びます。失活歯は、時間の経過とともに内部が変色し、多くの場合、周囲の健康な歯と比べて黒ずんだり、灰色がかったり、茶色っぽく見えたりするようになります。これは、歯の内部で組織が分解されたり、根管治療に使用された薬剤の色素が沈着したりすることが原因と考えられています。
特に前歯の失活歯は目立ちやすく、笑顔になった時にコンプレックスに感じる方も少なくありません。歯が変色していることで、人前で口を開けて笑うことに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。しかし、ご安心ください。この失活歯の変色に効果的な治療法が「ウォーキングブリーチ」です。
ウォーキングブリーチとは
ウォーキングブリーチとは、神経を失って変色してしまった歯(失活歯)の内側に、歯を白くする薬剤を直接注入し、内側から漂白していく治療法です。通常のホワイトニングが歯の表面に薬剤を塗布するのに対し、ウォーキングブリーチは歯の内部からアプローチするため、外部からのホワイトニングでは効果が出にくい失活歯の変色に特に有効とされています。
「ウォーキング」という言葉が示す通り、薬剤を歯の中に入れた状態で数日間過ごしていただき、その間にじっくりと漂白効果を発揮させます。通常、数回薬剤を交換することで、少しずつ歯の色を改善していきます。歯を削る必要がないため、歯への負担が少ない点が大きな特徴です。
ウォーキングブリーチの仕組み
失活歯が変色する主な原因は、歯の内部に残った古い血液成分や、根管治療の際に使用された材料の着色などが歯の内側から透けて見えるためです。ウォーキングブリーチでは、これらの色素にアプローチします。
治療は、まず変色した歯の裏側にごく小さな穴を開け、そこから歯の神経が通っていた「根管」と呼ばれる部分にホワイトニングジェルを注入します。このジェルは過酸化水素を主成分とし、酸素を発生させることで歯の内部の色素を分解し、漂白する働きがあります。薬剤を注入した後は、仮の蓋をして日常生活を送っていただきます。数日後、再度ご来院いただき、歯の色を確認しながら必要に応じて薬剤を交換します。これを何度か繰り返すことで、徐々に歯の色が白くなっていきます。
ウォーキングブリーチのメリット
ウォーキングブリーチは、失活歯の変色に悩む方にとって、非常に魅力的な治療法です。ここでは、その主なメリットについて詳しく見ていきましょう。
歯を削らない
ウォーキングブリーチ最大のメリットは、歯をほとんど削らずに治療ができる点です。ブリッジや差し歯、ラミネートベニアなどの治療では、健康な歯を大きく削る必要がありますが、ウォーキングブリーチは歯の裏側に小さな穴を開けるだけ。ご自身の歯を最大限に残せるため、歯への負担が非常に少ない低侵襲な治療と言えます。
自然な白さへ
ウォーキングブリーチは、歯の内部からゆっくりと漂白するため、まるでご自身の歯が本来持つ白さに戻ったかのような自然な仕上がりが期待できます。周囲の歯の色に合わせて調整できるため、治療した歯だけが不自然に白くなりすぎる心配もほとんどありません。
費用を抑えられる可能性
セラミックの差し歯やラミネートベニアといった審美治療と比較して、費用を抑えられる傾向にあります。歯を大きく削る必要がない分、材料費や技工料金が抑えられるため、経済的な負担を軽減しながら歯の変色を改善できる可能性があります。
治療期間が比較的短い
ブリッジや差し歯の作製には数週間から数ヶ月かかる場合がありますが、ウォーキングブリーチは通常、数回の通院で治療が完了します。もちろん、歯の変色の程度によって期間は異なりますが、比較的短期間で効果を実感できることが多いでしょう。
違和感が少ない
ご自身の歯を活かした治療のため、義歯のような異物感や違和感がほとんどありません。日常生活において、食事や会話の際に不快感を感じることもなく、快適に過ごしていただけます。
ウォーキングブリーチのデメリット・注意点
メリットが多いウォーキングブリーチですが、いくつか知っておくべきデメリットや注意点もあります。安心して治療を受けていただくためにも、これらを理解しておくことが大切です。
効果には個人差がある
ウォーキングブリーチの効果は、歯の変色の原因や程度、個人の体質によって異なります。すべての症例で希望通りの白さになるとは限りません。ごく稀に、ほとんど効果が見られないケースもあります。
一時的な知覚過敏
治療中に、一時的に歯がしみるような知覚過敏の症状が出ることがあります。これは薬剤によるもので、通常は数日で治まります。症状が強い場合は、痛み止めを処方することも可能ですのでご安心ください。
再着色の可能性
ウォーキングブリーチで白くなった歯も、時間の経過とともに再び色が濃くなる再着色の可能性があります。これは、食事や喫煙習慣、加齢などによって自然に起こり得る現象です。再着色した場合は、再度ウォーキングブリーチを行うことで改善できる場合があります。
治療期間
1回の施術で劇的な変化が見られるわけではなく、理想の白さに到達するまでに数回の薬剤交換が必要となります。そのため、治療期間が数週間から数ヶ月に及ぶこともあります。
適応症がある
ウォーキングブリーチは失活歯の変色に特化した治療法であり、すべての歯の変色に対応できるわけではありません。例えば、虫歯による変色、テトラサイクリン歯(薬剤の影響による変色)、金属の詰め物による変色などには効果が期待できません。また、歯の根に病気がある場合や、根管治療が不十分な場合も治療ができないことがあります。
根管治療の有無
過去に根管治療を受けていることが前提となる治療です。根管治療が適切に行われていない場合や、歯根の先に病巣がある場合は、先に根管治療をやり直す必要があります。
ウォーキングブリーチの治療の流れ
&DENTAL谷町4丁目歯科・矯正歯科でのウォーキングブリーチの一般的な治療の流れは以下の通りです。安心して治療を受けていただけるよう、一つずつ丁寧に説明いたします。
1. カウンセリング・診断
まず、患者様のお悩みやご希望を詳しくお伺いします。変色した歯の状態を拝見し、ウォーキングブリーチが適応可能かどうかを診断します。レントゲン撮影を行い、歯の根の状態や過去の根管治療の有無、根管充填の状況などを確認します。この際、ウォーキングブリーチのメリット・デメリット、費用、治療期間などについても詳しくご説明します。
2. 根管治療の確認・再根管治療
ウォーキングブリーチを行う前に、変色している歯の根管治療が適切に行われているかを確認することが非常に重要です。もし根管充填が不十分であったり、根の先に病巣がある場合は、ウォーキングブリーチの前に再根管治療を行う必要があります。これは、治療中に根管内に細菌が感染することを防ぎ、効果を最大限に引き出すためです。
3. 隔壁の作製
歯の内部に薬剤が漏れ出さないよう、根の先端部分(根尖)にセメントなどで**隔壁(バリア)**を作製します。これは、薬剤が歯の根の組織に影響を与えないようにするために大切な工程です。
4. 薬剤の注入・仮蓋
変色している歯の裏側に小さな穴を開け、その穴から歯を白くする薬剤(漂白剤)を慎重に注入します。薬剤を注入した後、穴は仮の蓋でしっかりと閉じます。この状態で数日間過ごしていただき、薬剤が歯の内部で効果を発揮するのを待ちます。
5. 複数回の薬剤交換
数日~1週間後を目安にご来院いただき、歯の色を確認します。歯の色がまだ目標とする白さに達していない場合は、古い薬剤を除去し、再度新しい薬剤を注入して仮蓋をします。これを理想の白さになるまで数回繰り返します。色の変化には個人差があり、数回で完了することもあれば、それ以上かかることもあります。
6. 最終的な詰め物
目標とする白さに到達したら、歯の内部の薬剤をきれいに除去します。そして、開けた穴を歯科用のレジンなどでしっかりと詰め、治療は完了です。必要に応じて、歯の表面を研磨し、周囲の歯と調和するように仕上げます。
ウォーキングブリーチの適応症と不適応症
ウォーキングブリーチは効果的な治療法ですが、すべての変色歯に適用できるわけではありません。ご自身の歯がウォーキングブリーチに適しているかを知ることは重要です。
適応症
- 神経を失った歯(失活歯)の変色: 過去に虫歯が原因で神経を抜いた歯、外傷で神経が死んでしまった歯など、歯の内部からの変色がある場合に有効です。
- 根管治療後の歯の変色: 根管治療後、歯の内部の色素が原因で変色した場合に特に効果的です。
- 部分的な歯の変色: 一部の歯だけが変色している場合に、その歯だけをターゲットに治療できます。
- 外科的処置を避けたい方: 歯を削ることに抵抗がある方、なるべくご自身の歯を残したい方に適しています。
- 比較的軽度から中程度の変色: 変色の程度にもよりますが、内側からの変色であれば改善が期待できます。
不適応症
- 生きている歯(生活歯)の変色: 通常のホワイトニングで対応する領域であり、ウォーキングブリーチの対象ではありません。
- 重度の虫歯や歯周病: 歯そのものに大きな問題がある場合は、まずその治療を優先します。
- 根管治療が不十分な歯: 歯の根の先に病気がある場合や、根管充填が不十分な場合は、先に根管治療をやり直す必要があります。
- 歯のヒビや亀裂がある歯: 薬剤が歯の内部から漏れ出し、歯周組織に影響を与える可能性があるため、治療できません。
- 過去に歯の漂白で副作用があった方: 以前の治療で過敏な反応が出た場合は慎重な検討が必要です。
- 金属による変色: 金属の詰め物や土台(コア)の色が透けて歯が黒ずんでいる場合は、ウォーキングブリーチでは改善できません。この場合は、セラミックの被せ物などで対応することになります。
- テトラサイクリンによる変色: 特定の薬剤(テトラサイクリン)の影響で、縞模様のように変色している歯には効果が期待できません。
- 人工物による変色: 差し歯、ラミネートベニア、詰め物などの人工物はウォーキングブリーチでは白くなりません。
ウォーキングブリーチの費用について
ウォーキングブリーチは自由診療となり、保険適用外の治療です。そのため、費用は全額自己負担となります。一般的な歯科医院での相場は、1本あたり3万円~5万円程度が目安とされています。ただし、これはあくまで目安であり、使用する薬剤の種類、治療回数、歯の状態、歯科医院の方針などによって費用は変動します。
&DENTAL谷町4丁目歯科・矯正歯科では、治療前に詳細なカウンセリングを行い、患者様の歯の状態やご希望に応じて、最適な治療計画とお見積もりを提示いたします。費用に関するご不安やご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
ウォーキングブリーチに関するよくある質問(Q&A)
患者様からよくいただくウォーキングブリーチに関する質問と、それに対する回答をまとめました。
痛みはありますか?
治療中は、歯の裏側に小さな穴を開ける際に麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。薬剤注入後、ごく稀に一時的な知覚過敏が生じることがありますが、通常は数日で治まります。痛みが強い場合は、痛み止めを処方することも可能ですのでご安心ください。
どのくらい白くなりますか?
白さの度合いは、歯の変色の原因や程度、治療回数、個人の歯の質によって異なります。一般的には、ご自身の周りの健康な歯の色に近づけることを目標としますが、劇的に真っ白になるというよりは、自然な明るさに改善されることを目指します。当院では、治療前にシェードガイド(歯の色見本)を使って、目標とする白さのイメージを共有します。
効果はどれくらい持続しますか?
ウォーキングブリーチの効果は、個人差がありますが、一般的に数年程度持続すると言われています。しかし、コーヒーや紅茶などの着色しやすい飲食物の摂取、喫煙習慣、加齢などによって再着色が生じることがあります。効果を維持するためには、定期的なメインテナンスや、必要に応じて追加のウォーキングブリーチを検討することもあります。
何回くらい通院が必要ですか?
通常、1回の薬剤注入で完了することは少なく、2~4回程度の薬剤交換が必要となるケースが多いです。歯の変色の程度によっては、それ以上の回数が必要となることもあります。最終的には、患者様がご希望される白さに達するまで治療を継続します。
治療期間はどのくらいですか?
治療回数によって異なりますが、目安として数週間から数ヶ月を要することが多いです。薬剤交換の間隔は、通常1週間から10日程度です。
保険は適用されますか?
ウォーキングブリーチは、歯を美しくするための**自由診療(自費診療)**となり、健康保険は適用されません。治療にかかる費用は全額自己負担となります。
差し歯も白くなりますか?
いいえ、差し歯(被せ物)や詰め物などの人工物はウォーキングブリーチでは白くなりません。ウォーキングブリーチは、ご自身の歯の内部の色素に作用する治療法だからです。差し歯の色が気になる場合は、差し歯自体を新しいセラミック製のものに交換するなどの治療が必要になります。
治療後に食事制限はありますか?
薬剤を注入して仮蓋をしている期間は、仮蓋が取れないように硬いものや粘着性の強いものは避けていただくことがあります。また、治療後は、コーヒー、紅茶、カレー、赤ワインなど、色素の濃い飲食物は着色しやすいため、一時的に控えるか、摂取後にすぐにうがいや歯磨きをすることをお勧めします。
&DENTAL谷町4丁目歯科・矯正歯科で、自信に満ちた笑顔を
失活歯の変色にお悩みの方は、ぜひ一度&DENTAL谷町4丁目歯科・矯正歯科にご相談ください。当院は、「大切な人にする歯科医療をあなたに。」を診療理念とし、患者様一人ひとりに寄り添った丁寧なカウンセリングと精密な治療を心がけています。
ウォーキングブリーチは、歯を削ることなく、内側から自然な白さを取り戻せる画期的な治療法です。長年諦めていた歯の変色も、この治療で改善できる可能性があります。
当院は谷町四丁目駅6番出口から徒歩4分、堺筋本町駅2番出口から徒歩6分とアクセスも良好です。平日・土日も診療しており、お忙しい方でも通いやすい環境を整えております。(祝日・GW・お盆休み・年末年始休みは除く)
まずは無料カウンセリングで、あなたのお口の状態やご希望をお聞かせください。経験豊富な歯科医師が、ウォーキングブリーチに関する疑問や不安を解消し、最適な治療プランをご提案いたします。
美しい白い歯で、自信に満ちた笑顔を取り戻しましょう。
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